ピラティスを始めるにあたって「ピラティスの呼吸法ってなに?」「普段の呼吸と何が違うの?」と疑問を感じる方は少なくありません。
ピラティスでは、肋骨を広げながら息を吸う「胸式呼吸」が基本です。呼吸を意識しながら身体を動かすことで、お腹まわりの筋肉が働きやすくなり、姿勢の安定や心身の緊張緩和にもつながります。
この記事では、ピラティスの呼吸法の特徴や腹式呼吸との違い、期待できる効果4つを解説します。初心者が意識したいポイントや実践者の体験談も紹介するため、これからピラティスを始める方はぜひ参考にしてください。
ピラティスの呼吸法とは

ピラティスでは、呼吸を意識しながら身体を動かすことを重視しています。基本となるのは、肋骨の動きを利用した「胸式呼吸」です。
ここでは、胸式呼吸の特徴や腹式呼吸・ヨガとの違いを解説します。まずは、それぞれの特徴を知り、ピラティスの呼吸法への理解を深めていきましょう。
- ピラティスの呼吸法とは胸式呼吸
- 胸式呼吸(ラテラル呼吸)の特徴
- 胸式呼吸と腹式呼吸の違い
- ヨガの呼吸法との違い
ピラティスの呼吸法とは胸式呼吸
ピラティスの基本となるのは、胸式呼吸です。胸式呼吸とは、息を吸うときに胸郭(胸を囲む肋骨などの骨格)を広げ、吐くときに元の位置へ戻す呼吸法を指します。
一般的には鼻から息を吸い、口からゆっくり吐く方法が基本です。普段の呼吸とは異なり、息を吸う・吐く動作を意識的に行う点がポイント。
ピラティスの創始者であるジョセフ・ピラティスは、呼吸を運動の重要な要素として位置づけていました。その考え方は現在にも受け継がれており、呼吸は単に酸素を取り込むだけでなく、身体の動きを支える基本要素として重視されています。
胸式呼吸(ラテラル呼吸)の特徴
ピラティスで用いられる胸式呼吸は、肋骨を左右や背中側へ広げる「ラテラル呼吸」とも呼ばれます。一般的な胸式呼吸との違いは、胸の前側だけでなく、肋骨の横や後ろにも空気が入るような感覚を意識する点です。実際に空気が入るのは肺ですが、肋骨の動きによって胸郭が広がり、横隔膜も上下に動きます。
また、お腹を大きく膨らませず、腹部の筋肉を適度に働かせながら呼吸することも特徴の一つ。ただし、お腹を強く締め続ける必要はありません。肋骨の左右に手を添えると、息を吸ったときに胸郭が広がり、吐いたときに戻る動きを確認しやすくなります。
胸式呼吸と腹式呼吸の違い
胸式呼吸と腹式呼吸の違いは以下のとおりです。
| 比較項目 | 胸式呼吸 | 腹式呼吸 |
| 意識するポイント | 肋骨の横・後方への広がりを意識する | 横隔膜の動きに伴うお腹の膨らみを意識する |
| 息を吸うとき | 肋骨を横・後方へ広げる | 横隔膜が下がり、お腹が前に膨らむ |
| 息を吐くとき | 肋骨を内側へ戻し、腹部の筋肉を働かせる | 横隔膜が上がり、お腹が自然にへこむ |
| お腹の筋肉 | 適度に力を入れた状態を保つ | お腹の力を緩めて自然な呼吸を促す |
| 身体への働き | 身体の軸を保ちながら運動できる | 身体の緊張を緩め、ゆったり呼吸できる |
ピラティスでは、息を吸うときに肋骨を横・後方へ広げ、吐くときに腹横筋や骨盤底筋を意識して体幹を支えます。お腹を固めるのではなく、呼吸に合わせて腹圧を調整することがポイントです。
それぞれの特徴を理解し、目的に応じて呼吸法を使い分ける意識を持ちましょう。
ヨガの呼吸法との違い
ピラティスとヨガは、どちらも呼吸を大切にしていますが、用いる呼吸法や目的が異なります。ピラティスは胸式呼吸を基本とし、身体の動きに合わせて息を吸う・吐くタイミングを調整。呼吸と動作を連動させ、筋肉の働きや身体の使い方を意識する点が特徴です。
一方、ヨガでは腹式呼吸や胸式呼吸、片鼻呼吸などを目的に応じて使い分けます。心身の状態を整えることも重視され、呼吸そのものを練習する場合もあります。
なお、ヨガの呼吸法は流派によって異なるため「ヨガは腹式呼吸・ピラティスは胸式呼吸」と単純には区別できません。それぞれの目的や特徴を理解することが大切です。
ピラティスの呼吸法で期待できる効果4つ

ピラティスの呼吸法は、筋肉の働きや姿勢の維持にも関係する重要な要素です。呼吸を意識して身体を動かすことで、運動中の体幹の安定や呼吸のしやすさなど、さまざまな変化が期待できます。
ここでは、ピラティスの呼吸法で期待できる4つの効果を解説します。それぞれの仕組みを知り、呼吸が身体に与える影響を理解していきましょう。
- お腹まわりの筋肉が働きやすくなる
- 呼吸に関わる機能が改善する
- 正しい姿勢を保ちやすくなる
- 心身の緊張が和らぎやすくなる
お腹まわりの筋肉が働きやすくなる
ピラティスの胸式呼吸は、肋骨を横や後ろに広げて息を吸うため、お腹を大きく膨らませずに呼吸できます。そのため、お腹まわりの筋肉が働きやすくなる点が特徴です。
お腹まわりには、腹横筋や骨盤底筋など、身体を支える筋肉があります。これらは呼吸にも関わり、特に息を吐く際には連動して働き、お腹の内側の圧力(腹圧)を調整。背骨や骨盤を支え、身体の軸を安定させる役割も担っています。
胸式呼吸では、肋骨の動きだけでなく、お腹の深い筋肉の働きも感じやすくなります。呼吸に合わせて筋肉の力加減を調整し、腹部を適切に使う感覚を養える点もメリットです。
参考:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5332969/
呼吸に関わる機能が改善する
ピラティスの胸式呼吸を意識して運動を続けると、呼吸に関わる筋肉が働きやすくなり、呼吸機能の改善が期待できます。胸式呼吸では、肋骨の間にある肋間筋や横隔膜が胸まわりを広げ、普段意識しにくい筋肉の働きを促します。
また、ゆっくり息を吐く際には腹部の筋肉も働くため、吸う・吐く両方の動作を意識できる点が特徴です。実際に、週3回・16週間のピラティスと専用の呼吸練習を組み合わせた検証では、呼吸機能の改善が確認されています。
この結果は、呼吸に関わる筋肉を継続的に動かすことが、肺に空気を出し入れする機能の向上につながる可能性を示しています。
参考:https://journals.plos.org/plosone/article
正しい姿勢を保ちやすくなる
ピラティスの胸式呼吸は、背骨や骨盤を支える筋肉の働きを促し、正しい姿勢を保ちやすくする効果が期待できます。呼吸に関わる横隔膜は、腹部の圧力を調整し、体幹を支える働きもあります。胸式呼吸では、肋骨とお腹の深い筋肉を連動して働かせるため、背骨や骨盤を安定させながら身体を動かせる点が特徴です。
また、呼吸に意識を向けると、肩が上がる、腰が反るといった姿勢の崩れにも気づきやすくなります。呼吸とエクササイズを組み合わせ、姿勢を支える筋肉を繰り返し使う習慣が、日常生活でも無理なく正しい姿勢を保つ力につながります。
参考:https://journals.plos.org/plosone/article
心身の緊張が和らぎやすくなる
ピラティスで呼吸を意識して身体を動かすと、心身の緊張が和らぎ、気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。ストレスを感じると呼吸が浅く速くなり、肩や首にも力が入りがちです。ピラティスでは、呼吸に合わせて身体を動かし、ゆっくり息を吐くため、筋肉の力みを緩めながら運動に集中しやすくなります。
また、週3回・12週間のピラティスを実施した結果、自律神経の働きを反映する心拍変動の一部指標が改善したという検証も存在します。身体の緊張をほぐすだけでなく、呼吸を通じて気持ちを切り替え、心身をリフレッシュできる点は胸式呼吸の魅力の1つです。
参考:https://becarispublishing.com/doi/10.2217/cer-2021-0195
ピラティス初心者が呼吸法で意識したいポイント

ピラティスの呼吸法に慣れないうちは、呼吸と身体の動きを同時に意識するのが難しく、息を止めたり、呼吸のタイミングがずれたりしがちです。そのため、最初から正確な胸式呼吸を目指す必要はありません。
ここでは、初心者が呼吸法を身につけるために意識したい3つのポイントを紹介します。基本を押さえ、無理なくエクササイズに取り入れていきましょう。
- 呼吸を止めずに身体を動かす
- 呼吸と動作のタイミングに慣れる
- 正しい呼吸を無理に意識しすぎない
呼吸を止めずに身体を動かす
ピラティス初心者のうちは、運動中も呼吸を止めないように意識することから始めましょう。慣れない動作に集中すると、無意識に息を止めて身体に力を入れてしまう場合があります。息を止めて力むと血圧が一時的に上昇するほか、首や肩に余計な力が入りやすくなるため注意が必要です。
特に、お腹に力を入れる動作では、息を止めず、ゆっくり吐きながら筋肉を働かせる意識がポイント。呼吸が止まっていると気づいたら、一度動きを小さくして自然な呼吸を取り戻す方法が効果的です。まずは吸う・吐くのリズムを保ちながら身体を動かす感覚に慣れていきましょう。
呼吸と動作のタイミングに慣れる
ピラティスでは、身体の動きと呼吸を合わせる意識が大切です。一般的には、身体を動かす際に息を吐き、元の姿勢に戻る際に吸います。例えば、仰向けで上半身を起こす際は、息を吐きながら頭や肩を持ち上げ、吸いながら戻す手順が基本です。
呼吸を動作に合わせると、勢いに頼らず丁寧に動かしやすくなります。ただし、呼吸のタイミングはエクササイズによって異なるため注意が必要です。
最初はインストラクターの声かけに合わせ、呼吸と動きの関係を少しずつ覚えていきましょう。タイミングがずれても慌てず、次の呼吸から合わせ直す意識を持つと、次第に慣れていきます。
正しい呼吸を無理に意識しすぎない
最初から胸式呼吸を完璧に行おうとせず、自然な呼吸を意識することが大切です。肋骨を広げようと息を吸いすぎると、肩が上がったり、首に力が入ったりする原因になります。
また、お腹に力を入れすぎると、かえって呼吸が浅くなる場合もあります。正しい呼吸にこだわりすぎず、苦しくならない範囲で息を吸い、ゆっくり吐くように意識しましょう。
無理のない呼吸を繰り返すうちに、自分に合った呼吸の深さが少しずつ身についていきます。呼吸に気を取られて動作がぎこちなくなる場合は、身体の動きを優先し、徐々に呼吸を合わせていく方法がおすすめです。
【体験談】ピラティスの呼吸法を実践している方のリアルな声

ピラティスの呼吸法は、実践すると難しく感じる場合があります。一方で、練習を重ねるなかで呼吸と動作のつながりを理解し、身体の使い方に変化を感じる方も少なくありません。
ここでは、呼吸法を実践している方のSNS投稿をもとに、初心者が感じた難しさや、呼吸を意識して得られた気づきなどのリアルな声を紹介します。詳しく見ていきましょう。
- 慣れるまで少し混乱した
- 姿勢と呼吸で腹筋美人になれる
- 呼吸法を意識して正しいフォームに近づけた
慣れるまで少し混乱した
マシンピラティスを体験し、ヨガとの呼吸法の違いに戸惑った方の事例です。ヨガでは主に腹式呼吸を行うため、ピラティスの胸式呼吸に慣れるまで少し混乱したと感じています。
ヨガの経験があっても、呼吸法が変わると最初は難しく感じる場合があります。胸式呼吸は普段から意識する機会が少ないため、焦らず練習を重ねながら慣れていく意識が大切です。
姿勢と呼吸で腹筋美人になれる
ピラティスの先生から教わった姿勢と呼吸を意識し、腹筋に変化を感じた方の事例です。歩くときや座るときも、お腹に力を入れて鼻呼吸を続けた結果、腹筋の線がくっきりしたと実感しています。
ピラティスで学んだ身体の使い方は、日常生活にも活用できます。普段から姿勢や呼吸を意識すると、お腹まわりの筋肉が働きやすくなるためおすすめです。
呼吸法を意識して正しいフォームに近づけた
整体とマシンピラティスのレッスンで、呼吸やフォームの指導を受けた方の事例です。肩が上がるクセがありましたが、呼吸のタイミングや身体の使い方を教わり、正しいフォームに近づけたと感じています。
ピラティスでは、呼吸と姿勢の連動が大切です。自分では気づきにくいクセも、インストラクターの指導によって改善につなげやすくなります。
ピラティスの呼吸法に関するよくある質問

ピラティス初心者の方は、呼吸法を練習するなかで「なぜ苦しくなるの?」「呼吸を意識するだけで痩せる?」など、疑問を感じる場合が多くあります。
ここでは、現役ピラティスインストラクターの視点から、呼吸法に関するよくある質問3つに回答します。疑問を解消し、安心してレッスンに取り組むための参考にしてください。
- ピラティスの呼吸が苦しいのはなぜですか?
- ピラティスの呼吸法で痩せるって本当ですか?
- ピラティスはなぜ胸式呼吸?
ピラティスの呼吸が苦しいのはなぜですか?
ピラティスの呼吸が苦しくなる原因には、息の吸いすぎやお腹への力の入れすぎが挙げられます。胸式呼吸に慣れていないと、肋骨を広げようとして肩や首に力が入り、呼吸が浅くなる場合もあります。
無理に大きく息を吸わず、自然な呼吸を続けながら身体を動かす意識が大切です。苦しさが続く場合は運動を中断し、インストラクターに相談してください。
ピラティスの呼吸法で痩せるって本当ですか?
ピラティスの呼吸法だけで、体脂肪が大きく減るわけではありません。ただし、胸式呼吸を意識するとお腹の深い筋肉が働きやすくなり、姿勢の改善につながります。
また、呼吸とエクササイズを組み合わせて続けると、筋力向上や身体の引き締めも期待できます。体重を減らしたい場合は、運動に加えて食事や日常の活動量も見直しましょう。
ピラティスはなぜ胸式呼吸?
ピラティスで胸式呼吸を用いる理由は、お腹まわりの筋肉を働かせながら、背骨や骨盤を安定させて身体を動かすためです。
胸式呼吸では、肋骨を横や後ろに広げるため、お腹を大きく膨らませずに呼吸を続けられます。腹部の筋肉を適度に働かせた状態を保ちやすく、手足を動かす際にも体幹を支えやすくなる点が特徴です。
ピラティスの呼吸法 まとめ

ピラティスでは、肋骨を横や後ろに広げて息を吸う胸式呼吸(ラテラル呼吸)が基本です。お腹の筋肉を働かせながら呼吸するため、体幹の安定や姿勢改善、心身の緊張緩和などの効果が期待できます。
初心者は呼吸と動作を合わせるのが難しく、無意識に息を止めてしまう場合もあります。最初から正確な呼吸法にこだわらず、自然な呼吸を続けながら少しずつ慣れていく意識が大切です。
呼吸法を早く身につけたい方は、インストラクターの指導を受けながら練習する方法もおすすめです。正しい身体の使い方を学び、日々のエクササイズに役立てていきましょう。
