ピラティスは頭痛に効果がある?悪化する原因と正しい実践法を理学療法士が解説

定期的に繰り返される頭痛に、「もう振り回されたくない。」と思っている方は少なくありません。実際、日本人の約4割の人が頭痛に悩まされています。そんな中、頭痛を根本的にどうにかしたい。という思いから注目されているのが、ピラティスです。

ただし結論からお伝えすると、ピラティスによって頭痛のすべてが改善するわけではありません。一概に頭痛と言っても頭痛の種類はたくさんあり、原因は人によってさまざまです。中にはピラティスを行うことによって、悪化してしまうケースもあります。

この記事では

  • 頭痛の種類
  • ピラティスと頭痛の関係
  • 理学療法士目線で頭痛緩和のポイント

これらについて現役理学療法士が解説します。

目次

ピラティスは頭痛に効果があるのか?

ピラティスは頭痛に効果があるのか?

結論として、ピラティスそのものがすべて頭痛に直接作用するわけではありませんが、姿勢の乱れや首・肩周りの筋肉のこわばりが強い人にとっては、体の状態を整える手段のひとつになりえます。姿勢の悪さや筋肉の過緊張が続くことで、首や肩に余計な力が入り、血流や神経の状態に影響します。その結果として頭まわりの不快感につながることがあります。

ピラティスでは、インナーマッスルを働かせながら姿勢を整え、普段あまり使えていない筋肉も動かします。それにより首や肩に入りすぎていた力を抜き、全身バランスを整えていくことを目標とします。その結果として、「首や肩が軽くなった」「長時間同じ姿勢でいても以前ほどつらくない」といった変化が多く見られます。

ピラティスで改善が期待できるメカニズム

首や肩周りのこわばりが強いことで血流が悪くなったり、神経を刺激して不快感がでたりといったことが起こります。

後頭下筋群(こうとうかきんぐん)と言われる首の後ろに小さな筋肉の集まりがあり、この筋肉の緊張と首周りの神経との関連があると考えられています。特にスマホ首やストレートネックと言われる姿勢は後頭下筋群に負担がかかりやすいため、頭痛持ちの人は注意が必要です。

ピラティスの姿勢改善効果によって、首や肩の負担が軽減され、「首や肩が軽く感じる」「長時間同じ姿勢でいても以前ほどつらくない」などの変化が見られます。

効果を実感するまでの期間

ピラティスの効果を実感するまで、1〜2カ月程度を要することが多いです。期間に関しては個人差が大きく、早い人では1度のピラティスで効果が出る人もいます。

効果を実感するまでの期間と同じように効果持続期間も大切です。一時的に楽になっても、またすぐに戻ってしまっては意味がありませんよね。効果を持続させるためには3~6カ月程度のトレーニングで正しい姿勢や力の入れ方を学ぶことが必要となります。ピラティスで根本的な改善を目指すのであれば、長期的な計画で進めていくことが一番の近道です。

ピラティスで頭痛が悪化する可能性

ピラティスは安全性の高い運動ですが、まれに頭痛が悪化するケースがあります。特に多いのはピラティスを頑張りすぎてしまうタイプの人ほど筋肉を固めて使ったり、呼吸を止めることで、筋肉の緊張が高くなりやすいです。そのほかにも照明がまぶしすぎたり、空調が強すぎて冷えすぎることも、自律神経を乱して頭痛を悪化させてしまう原因になります。

ピラティスはリラックスしながら行うのが大前提です。もし頭痛が出た場合はすぐにインストラクターや医療機関に相談することをおすすめします。

頭痛の種類別|ピラティスの効果

頭痛の種類別|ピラティスの効果

ひとくくりに頭痛と言っても原因はさまざまで、それに伴って種類もたくさんあります。

ここでは

  • 緊張型頭痛
  • 片頭痛
  • 群発性頭痛
  • 病気が伴う頭痛

に分けて紹介し、これらがピラティスとの関係性について解説していきます。

緊張型頭痛(肩こり・首こりを伴う頭痛)

緊張型頭痛は有病率が最も高い頭痛ですが、不明な点が最も多い頭痛です。緊張型頭痛の人は、首や肩の筋肉がこわばり、痛みを感じやすい状態になっています。普段姿勢が悪い人や同じ姿勢を長時間続けている人は特に注意が必要です。

ピラティスはインナーマッスルなどの普段意識して使いづらい筋肉を使い、姿勢改善や筋緊張を改善することが目的になります。姿勢を改善することによって首や肩のこわばりが減り、快適に日常生活を送ることにつながります。

片頭痛(片側に起こるズキズキした頭痛)

片頭痛は脳の血管が一時的に収縮し、その後一気に拡張することによって起こると考えられています。この血管の拡張によって周囲の神経が刺激されて拍動に合わせてズキズキとした痛みが生じます。

血管の反応が原因になりやすいため、完全に抑え込むことは難しいです。そのためできる限り発作の回数や強さを減らすことを目的に行動する必要があります。

  • 生活リズムの乱れ
  • 強いストレス
  • 食事と水分のバランス
  • 気圧や天候の変化

上記のようなことが片頭痛を助長します。

ピラティスではストレス解消し自律神経を整える効果があり、運動後すっきりとした気持ちになることができますよ。しかし強度を強すぎたり、運動自体がストレスになることがあるので注意が必要です。

群発頭痛(周期的に訪れる激しい頭痛)

群発性頭痛は

  • 片側の目の奥~こめかみ周辺に焼けつくような激痛
  • 1回の発作は15分~3時間程度
  • 発作が出る時期は1日1~2回、毎日ほぼ同じ時間に痛みが起こる

このような特徴があります。

症状としては激しい痛みと別に目の充血や鼻づまり、発汗、瞼が腫れるなどの自律神経症状が出ます。現在、はっきりとした原因はわかっていないため、ピラティスによる効果も期待できません。

病気が原因で起こる頭痛→医師の診断が必要

脳卒中や脳の炎症、感染症など病気が原因で起こる頭痛は多岐にわたります。これらの頭痛は病気そのものが原因のため、ピラティスでの改善は期待できません。

特徴として

  • 突然の激しい頭痛
  • 発熱や痙攣、意識障害を伴う
  • 手足がしびれる、ろれつが回らない
  • これまで経験した頭痛とは明らかに違う

これらのようなことが起こるため、ピラティスどころではないことが大半です。病気が原因で起こる頭痛は明らかにこれまでと違う痛みの強さ、頻度であることが多いため、何かおかしいと思ったらすぐに病院受診や救急車要請を行ってください。

【実践】頭痛改善におすすめのピラティスエクササイズ5選

ネックストレッチ

ネックストレッチ

効果

  • 首~肩の筋肉の緊張をやわらげる
  • 血流促進による頭痛の改善

動作手順

①椅子に座り、背筋を伸ばす

②ゆっくり右に首を倒し、左の首筋を伸ばす

③20秒~30秒キープし、反対側も行う

④呼吸を止めず、深く吐きながら行う

意識するポイント

  • 強く引っ張らず、じんわり伸ばす程度でOK

ショルダーブリッジ

ショルダーブリッジ

効果

  • 骨盤の安定
  • お尻や太もも裏の強化
  • 猫背、反り腰の予防

動作手順

①仰向けに寝て、膝を立てる。

②骨盤をゆっくり持ち上げる。

③持ち上げたところで10秒キープする。

④息を吐きながら、骨盤を下ろして行く。

意識するポイント

  • 骨盤を持ち上げる際は腰を反るのではなく、お尻を持ち上げる
  • 持ち上げてキープするときも息を止めることなく行う
  • 骨盤をおろすところは背骨をひとつずつ下ろしていくイメージで行う(上方から)

キャット&カウ

効果

  • 背骨、骨盤の柔軟性アップ
  • 肩こり、腰痛の予防
  • 姿勢改善
  • 呼吸リズムを整える

動作手順

①四つ這いになる

②息を吐きながら背中を丸める

③息を吸いながら背骨を反らせる

④呼吸と動きを合わせる

意識するポイント

  • 四つ這いの手は肩の真下、膝は骨盤の真下につく
  • 背中を丸める際は、おへそを覗き込むように頭を下げて、尾てい骨を床方向に下げるイメージで行う
  • 背中を反る際は胸を開き、尾てい骨を天井方向へ向ける

スパインツイスト

スパインツイスト

効果

  • 背骨の柔軟性アップ
  • ウエスト引き締め
  • 姿勢改善
  • 呼吸を深くする

動作手順

①床に座り、脚を伸ばす(または軽く曲げてもOK)
②背筋を伸ばし、腕を肩の高さで横に広げる
③息を吐きながら上体をゆっくり右にねじる
④息を吸いながら正面に戻り、反対側も同様に行う

意識するポイント

  • 骨盤が動かないように座骨でしっかり支える
  • ねじるのは胸のあたりから、首や肩に力を入れない

チェストオーブナー

チェストオーブナー

効果

  • 胸郭を開き呼吸を深める
  • 猫背の改善
  • 自律神経の安定化

動作手順

①立位または椅子に座って背筋を伸ばす
②手を後ろで組み、胸を軽く開く
③息を吸いながら胸を前に押し出し、肩甲骨を寄せる
④息を吐きながら力を抜いて戻す

意識するポイント

  • 腰を反らせず、胸の開きを意識する
  • 呼吸を深く、ゆっくり行う

ピラティスで頭痛が悪化する原因と予防方法

ピラティスで頭痛が悪化する原因と予防方法

上記の章でもあったように、少数ではあるもののピラティスによって頭痛が悪化することがあります。

頭痛が悪化する原因として考えられるのは以下の3点です。

  • 余計な力が入りすぎている
  • 呼吸が止まる・浅くなる
  • 体のコンディションが整っていない

これら3点を詳しく解説するとともに、予防方法も解説します。

悪化する原因①余計な力が入りすぎている

1つ目は余計な力が入りすぎていることです。緊張型頭痛の場合、首や肩まわりの筋緊張が上がることによって頭痛につながります。余計な力が入ることにより、首・肩周りのこわばりが強くなり、結果的に頭痛を悪化させてしまうことにつながります。

予防策としては、正しいピラティスのフォームを身に着けるということが重要です。正しいフォームを身に着けるためには、アドバイスが上手なインストラクターに教えてもらうことやアドバイスの頻度が多いインストラクターに教えてもらうことが近道になるでしょう。

悪化する原因②呼吸が止まる・浅くなる

2つ目は呼吸が止まる・浅くなることです。トレーニング中に呼吸を止めることで血圧が上がります。血圧が急に上がり下がりすることで、神経が過敏に反応して片頭痛が起こるリスクが高まります。それに加えて脳卒中などの病気を発症するリスクも高まります。

予防策としては、まずは簡単なトレーニングから始めていくことがおすすめです。難しい動作を突然始めると動作や負荷に気を取られ、呼吸がおろそかになります。少しずつ慣れて難しいトレーニングに移行することで、呼吸にも意識を向ける余裕も出ますし、余計な力も入りにくく、リスクを最小限に抑えることができるということです。

悪化する原因③体のコンディションが整っていない

3つ目は体のコンディションが整っていないことです。「なんとなく体調が悪いけど大丈夫だろう」というような考え方でピラティスを行うのは危険です。体が疲れていたり、睡眠不足や冷え、ホルモンバランスの乱れなどがあると、筋肉や神経が過敏になり、少しの刺激でも頭痛が起こりやすくなります。特に女性は月経周期や更年期の影響で自律神経が乱れやすく、その日の体調によってコンディションが大きく変わることもあります。

「いつもより肩が重い」「眠気が強い」「やる気が出ない」と感じる日は、無理せずお休みするか、軽いストレッチや呼吸を整えるだけにとどめましょう。体調の波を受け入れ、休む勇気を持つことも、長くピラティスを続けるうえで大切なポイントです。

理学療法士が考える頭痛への対処法

理学療法士が考える頭痛への対処法

まず理学療法士とは、簡単に言うと「ケガや病気、手術などによって体が弱った人にトレーニングやケアをして体の状態を改善する仕事」です。現在、理学療法は頭痛改善に対する医学的根拠はないため、あくまで経験則になりますが、

理学療法士が考える頭痛改善方法について

  • 習慣や体の使い方を見直す
  • セルフケアを習慣化する
  • マインドを変えてみる

これらについて解説します。

習慣や体の使い方を見直す

ついついスマホやパソコンを長時間見てしまう。悪い姿勢とわかっていながら続けてしまっている。このような習慣や体の使い方を変えていくことで頭痛改善の糸口をつかめることがあります。例えばスマホやパソコンを見るときは目線に合うように調整する、姿勢が悪くなっていないか確認するなど、ちょっとした環境調整を行うだけでも変化が出ることがあります。

その前段階として、何が悪い習慣なのかを見つけることが重要です。どの動作で頭痛が強くなるのか、なにかの作業後に痛みが出てくるのかなどの規則性が見つかれば、それが悪い習慣である可能性が高いので改善していく必要があるというわけです。

悪い習慣の改善の仕方がわからない際は一人で悩まず、体の専門家に相談してみてください。

セルフケアを習慣化する

自宅でできることはたくさんあります。首の周りを温める、ゆっくり湯船につかる、肩甲骨周りのストレッチや体操をするなど、首と肩周りの筋緊張を緩和させることで首や肩周りが楽になります。

これらをすべて行うわけではなく、仕事や家事の合間に気分転換程度に行って、日常的にケアすることが大切です。健康は一度で改善するのではなく、日常生活をより健康に近づけ毎日コツコツ改善していくことが重要です。日々の小さな努力で頭痛を緩和していきましょう。

マインドを変えてみる

頭痛を緩和するためには「症状をなくす」ことだけに意識を向けすぎないことも大切です。
ピラティスを通して「自分の体と向き合う時間を持つ」ことが、結果的にストレス軽減や自律神経の安定につながります。

「痛みがある=ダメ」と捉えず、体が出しているサインとして受け止め、
“自分の体を知る”という視点を持つことが、第一歩となります。

ピラティスと頭痛でよくある質問

ピラティスと頭痛でよくある質問

ピラティスの次の日に頭痛がするのはなぜですか?

ピラティスの翌日に頭痛がするのは、主に「筋緊張」や「姿勢の変化」によるものです。

普段使わない首や肩周りの筋肉を使うことで、一時的に筋肉がこわばり、血流が悪くなると頭痛につながります。また呼吸が浅かったり力みすぎたりすると酸素不足になり、緊張型頭痛や疲労の蓄積の原因となります。ピラティス後はストレッチや深呼吸で筋肉を緩めてこまめな水分補給を心がけましょう。

ピラティスに向いていない人は?

ピラティスは多くの人に安全で効果的なエクササイズですが、体調や目的によっては注意が必要です。たとえば急性腰痛や椎間板ヘルニア、骨折、変形性関節症などの方は痛みが悪化する恐れがあります。

また「すぐに結果を出したい」「強く鍛えたい」と焦るタイプの人にも向きません。集中力が続かない人や体の感覚を意識するのが苦手な人は、最初こそ戸惑うかもしれませんが、正しい指導のもとで行えば次第に効果が実感できますよ。

ピラティスをすると体調が悪くなるのはなぜ?

ピラティス後に体調が悪くなるのは、体が新しい動きや姿勢に慣れていないため、一時的な不調が出ることがあるためです。普段使っていない筋肉を使うことで筋肉疲労や血流の変化が起こり、だるさや頭痛、めまいを感じることがあります。また水分や栄養が不足していると酸素やエネルギーが足りず倦怠感を感じやすくなります。

さらに過度な力みや姿勢の崩れが自律神経に負担をかける場合もあるため、無理せず休息を取り十分な水分と食事をとることが重要です。

ピラティスに向いている人、向いていない人の特徴は?

ピラティスに向いている人は、集中力がありコツコツ続けることのできる人です。

ゆっくりと時間をかけながら長期的に姿勢を整え、体の歪みやコリを改善することを目指すことができます。一方でピラティスに向いていない人は、短期間で大きな変化を求める人や、激しい運動で達成感を得たい人です。呼吸や姿勢の細かな意識が苦手な人も最初は難しく考えるかもしれませんが、継続すれば誰でも効果を実感できるようになります。

運動が苦手という人も自分のペースで行うことができるのも魅力です。

ピラティスと頭痛 まとめ

ピラティスは、姿勢の改善や筋肉の緊張緩和、自律神経の安定によって頭痛の軽減に大きな効果を発揮します。
特に「緊張型頭痛」には相性が良いと考えることができます。正しいフォーム・呼吸・継続がポイントです。

一方で、片頭痛や群発頭痛、病気が原因の頭痛では、ピラティスだけでは不十分な場合があります。
自分の頭痛のタイプを把握し、無理のないペースで取り組みましょう。

頭痛に悩む方にとって、ピラティスは「体を整える」だけでなく「心も整える」心強い味方です。
焦らず、やさしく、自分のペースで続けていきましょう。

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